This is 俺の秘密。

 僕はNUMBER GIRLというバンドが好きだ。ボーカルの向井秀徳は風変りな人なので色々と話題がつきないが、気に入っているエピソードがある。彼の左手の人差し指は一部が欠けているのだ。幼少期にエアコンの室外機に人差し指を突っ込み、欠けてしまったらしい。ギターリストにとっては、不自由な欠損だ。

 しかし、彼は自身の指の欠損を補うため、「オレ押さえ」という独自のコードフォームを開発した。結果、この「オレ押さえ」から独特な哀愁漂うサウンドが生まれ、NUMBER GIRLの魅力の1つとして認知されている。

 

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 このような身体の欠損によってに生まれた工夫や創作が、独自性を手にする例に面白みを感じる。かくいう僕も生まれつき右耳が聞こえていないこともあり、シンパシーを感じているのかもしれない。僕は蝸牛という感覚器官がへんてこな形でできたまま生まれ、以降右耳が全く聞こえない。

 最近になって、右耳が聞こえないことは少し不便だなと改めて感じることが増えた。会議中、話し手が右側にいると、言葉の一つ一つを聞き取れないことが多々ある。勇気を出して途中で聞き返すと会議の腰を折ってしまい、後悔することがある。

 また誰かがジョークを言ったときに、そのジョークの核心が聞きとれず、適当に笑ってごまかそうとするが、1人だけ笑いの熱度が周りと違うときがある。

 このように、右耳の欠損に不便さを感じることが増えているのだが、向井秀徳の指のエピソードを思い出すと、自身の身体の欠損によって自分でも気が付かないうちに、自分らしさが形成されているかもしれないと不思議と落ち着いた気分になる。自分ながら素敵な考えだ。

 いつかこの自分らしさで皆さんを震え上がらせることができたら最高だ。僕は酔っぱらっているだけかもしれない。