サイエンスのすすめ。

 僕はサイが好きだ。三歳の時に動物図鑑でサイの姿を見てから、サイの魅力に取りつかれていた。鎧のような皮膚や頭部の大きな角に魅力を感じたためだ。

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 僕がサイに惹かれたきっかけはサイの外見だったが、徐々に生態にも関心を持つようになった。種類や生息地などサイに関する様々な知識を科学番組や本から学び、サイについてくわしくなった。僕は三歳にしてサイ博士になった。

  ただ動物図鑑に書いてあった「サイの角は体毛でできている」という事実をどうしても理解することができなかった。当時の僕は「角は骨のように固いものだ」という固定観念を抱いていた。そのためサイの角が柔らかい体毛から作られているという事実をイメージできなかった。

 しかし、僕の中でこの疑問が解消された出来事があった。それは横浜市立金沢動物園に訪れた時、サイの角に触れた時のことだ。サイの角は表面がざらざらしていて、繊維のような手触りだった。今まで知識として認識していた「サイの角は体毛でできている」という事実を、自分の手を通じて理解することができた。

 僕はこの時はじめて、サイの面白さではなく、科学の面白さに触れたのではないかと思う。頭の中で理解できなかった科学的な問題を自分の五感で体験し、解決する瞬間こそが科学の醍醐味だ。

 例えば、アメリカでは、一般の方が科学を体験する環境が豊富だ。街中に共用の生物実験用の施設があり、誰でもバイオ実験に取り組むことができる。

www.nhk.or.jp

(中には自宅でバイオ施設を持ち、実験をする人もいる)

   もちろん科学的な実験を一般人がどこまで実践を許可すべきかについては、議論の余地がある。しかし、こうした環境のおかげかアメリカでは日本よりも科学への関心を抱いている人の割合が高いように感じる。科学者を題材にした映画やドラマがたくさんあることからもこの事を強く感じる。

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ブレードランナー

 日本でも医者を描いた映画やドラマはたくさんあるが、医者の派閥争いや人間関係にフォーカスを置いたものばかりで、なかなか科学技術に踏み込んだ映画やドラマは少ないように感じられる。(もちろんハリウッドのように莫大な制作費がないことも原因の1つではある…)

 科学の面白さを伝えるためには、自分の手を動かして科学を体験できる環境、科学を身近に感じる環境を作る必要があると感じている。